人口減少対策には「労働生産性の向上」「地域愛」
青森県経営者協会と連合青森は7月25日(火)、県労働福祉会館にて『2023地域活性化フォーラム』を開催し、経済界や労働団体、行政の関係者ら100名が参加した。
この取り組みは地域社会の課題解決に向け連合青森が音頭を取り幅広い団体で構築した「青森県笑顔と元気のプラットフォーム」によるもので、第1段となる今フォーラムは中小企業の基盤強化や地域の活性化に向け、人口減少の一途をたどる本県について社会経済や労働力などの観点から現状を認識し方向性を見出し、今後に活かすことを目的に、基調報告とパネルディスカッションの2部構成で行われた。
基調報告では日本銀行青森支店武藤一郎支店長と弘前大学人文社会科学部李永俊教授が報告。
武藤支店長は「人口減少と経済停滞は相関関係にあり、この負の連鎖を解消するには労働生産性の向上がカギとなる。その施策として①省人化に向けたAI導入や従業員のマルチタスク化、デジタル化による業務プロセスの見直し、②付加価値増大に向けた高単価商品の開発やオンライン技術による販路拡大などがあげられる。地域全体でデジタル技術に関する知識普及の遅れを取り戻さなければいけない」と報告した。 |
李教授は人口減少のプロセスとして「地方からの人口流出により都市部では過密化が進み生活コストが高騰、子を産み育てる環境が不十分となり少子化が進む。一方で地方では過疎化により若年人口が激減し結婚行動が低下し、少子化が進むといった現在は悪循環の中にある」と報告した上で、大卒者の定着率に関する研究データを示し「大卒者の県外流出が生産性向上のハードルとなっている」と述べた。 |
第2部パネルディスカッションでは、塩谷会長がコーディネーターを務め、パネラーに武藤支店長、李教授、青森労働局職業安定部鈴木威至局長、青森県商工会議所連合会葛西崇常任幹事が登壇し進められた。
人口減少対策について李教授は「移動は経済的要因だけで起きていない。経済的なちょっとの格差は人間関係や地域の温かさ、愛着で補える。若者に青森を好きになってもらいたい。そして大人がもっと青森を好きと言わなければいけない」と述べた。
葛西常任幹事は「職場の働き方改革が若者にマッチしているか反省する必要があり、採用活動においても首都圏のみならず東北の中でも遅れを取っている。また若者は地元企業を知る機会が少なく、企業PRが足りていない」と経済界の課題をあげ、「大人が自信をもって子どもに青森を勧められるような意識醸成も必要ではないか」とも語った。
フォーラム最後、県経営者協会七尾嘉信会長は「人口減少対策については行政に任せるだけでなく、労働生産性の向上や地域愛など我々がやるべきヒントをいただいた。青森が活性化するよう個々に取り組んでいただきたい」と締めくくった。