「職場のいじめ・嫌がらせ」は労使共通課題!
連合青森と青森県経営者協会は5月17日(木)、ラ・プラス青い森で、2018春季生活闘争の取り組みの一環とし、地域の活性化とそこで働く者の処遇改善に向け「2018地域フォーラム」を開催し、組合員など100名が参加した。
今回のフォーラムは、近年労働相談件数も増加傾向にある「職場のいじめ・嫌がらせ」をテーマに、労使の枠を越えた共通課題と捉え開催された。
基調報告では青森労働局雇用環境・均等室の大崎浩労働紛争調整官が「青森県における職場のいじめ・嫌がらせの現状」と題し、個別労働紛争解決制度で処理された過去3年間のデータを基に、50人未満の事業所での発生が6割を超え、企業代表者が加害者になるケースが多いなど、中小企業の多い本県ならではの特徴が報告された。
続いてパネルディスカッションに入り、コーディネーターには青森県経営者協会北村真夕美理事、パネリストには連合総合男女・雇用平等局井上久美枝総合局長、青森労働局雇用環境・均等室本田義和室長補佐、NPO法人ウィメンズネット青森佐藤恵子理事長、岩手大学人文社会科学部渡部あさみ准教授の4名が登壇し、以下のような情報を共有をした。
◆被害者が声を出せるようになったのは明るい兆しではあるが、まだ氷山の一角である。
◆パワハラの労災認定について加害者・被害者双方の認識に隔たりが多く、事実確認が難しい。
◆学生の多くは当事者意識が薄く、授業で取り上げ、初めて自身にも起こりうる問題と認識する。
◆被害者は「自分の能力不足」など自責の念にかられることが多く、自身の権利が侵害されているという認識が薄いケースが多い。
◆ILO(国際労働機関)でハラスメントの国際労働基準設定にむけた議論が進んでいる。条約化をめざし、連合も連動した運動を進める。
◆厚労省調べで、過去3年間に32.5%がパワハラを経験し、働く女性の28.7%がセクハラを経験している。
◆包括的法整備に加え、企業としてもパワハラに関する社内研修や事例集の作成、メンター制度の確立が必要。
◆パワハラは男と女、会社と社員という対峙した関係で捉えるのではなく、社会全体、すべての働く人の人権問題と捉え、対策が必要。
フォーラム最後、連合青森内村隆志会長は「業務の多忙化に比例し増えてきたパワーハラスメント。根幹には労働強化により職場内のギスギスした状況から派生してきた問題であり、一気にルールで縛ったからといって少なくならないであろう。各々の企業で粘り強く対策を講じていくことが重要であり、ハラスメントのレッテルを貼られた企業は社会から抹殺されかねないという認識を経営者の方々にも持っていただきたい」と強調した。