2021年労使交渉懇談会

 

デフレに戻さないという共通認識が不可欠

 

 連合青森は3月10日(水)13時30分より、青森市のホテル青森で県経営者協会と「2021年労使交渉懇談会」を開催し、「賃上げ」や「雇用形態間格差の是正」、「男女間格差の是正」「働き方の見直し」等について意見交換した。
 この懇談会は、1月29日に連合青森が県経営者協会に提出した「2021年春季労使交渉に関する申入れ」の内容説明とこの申入れに対する県経営者協会の見解説明、今後の県内地場組合の労使交渉の環境整備に向けて毎年行われている。

 連合青森塩谷進会長は「決してデフレに戻さないという共通認識が不可欠」とし、「賃上げ、働き方の見直しと同時に付加価値の適正分配に取り組み、将来不安を払拭することが持続可能な地域経済を創るうえで必要とされている」と強調した。またこれまで懸案課題であった人手不足について「コロナ禍で若者の県内就職は増加傾向にあるが、この機を逃すことなく、『人への投資』を強化し、働き続けられる青森県づくりへ労使ともに知恵を出し合い進めていかなくてはならない」と理解を求めた。
 これに対し、県経営者協会七尾嘉信会長は「会員企業アンケート調査で新型コロナウイルスによる景気悪化の影響で企業活動が抑制され、雇用情勢にも影響が出てきている。経営基盤の脆弱な中小企業の多い本県は厳しい状況にある」と述べ、賃上げに対する直接的な言及はされなかった。また働き方改革への対応については「働きがい・働きやすさを実感できる職場づくりや多様な働き方を実現していく」と述べ、労使の認識は一致した。

 続いて意見交換に入り、①賃金の引上げ、②同一労働同一賃金の対応、③取引の適正化、④働き方の見直しの4項目について提起され、賃上げについて連合青森は「七尾会長挨拶で企業の7割が業績悪化し、その理由に個人消費の低迷とあったが、ベアを含めた賃上げがされていないため安定して消費を増やせないことが原因ではないか。この悪循環を断ち切るため個人消費を刺激することが必要と考える。これにより優秀な人財の確保、県外流出の歯止めに繋がり、生産性向上と企業収益確保に向けた有効的手段とも考える」と述べ、賃上げによる底上げ・底支えの考え方について意見を求めた。これに対し県経営者協会からは「自社の存続と雇用維持を大前提とし、賃上げに関しては自社の支払能力に応じる」と例年同様、前向きな回答は示されなかった。一方で雇用形態間や男女間格差の是正、働き方の見直し等は認識が一致した。

 最後に「ワーク・ライフ・バランスの実現と人財の育成、人財の県内定着に向け働きやすい職場環境を整備する」などとした「雇用の維持と安定化宣言」を採択調印した。