2023年労使交渉懇談会

 

『人への投資』に向けた『賃上げ』の必要性は一致

 

 連合青森は3月10日(金)、青森市のホテル青森で県経営者協会と「2023年労使交渉懇談会」を開催し、「賃上げ」や「雇用形態間格差の是正」、「男女間格差の是正」「すべての労働者の立場に立った働き方の見直し」等について意見交換した。

 この懇談会は、1月28日に連合青森が県経営者協会に提出した「2023年春季労使交渉に関する申入れ」に対する県経営者協会の見解説明、今後の県内地場組合の労使交渉の環境整備に向けて毎年行われている。

 連合青森塩谷進会長は「今春闘はコロナ禍・円安・物価高の中での取り組みとなる」と強調。「県内においては物価上昇率が全国と同等の水準となり、可処分所得は減少し生活苦が増している。優秀な人材確保と生産性向上には給与格差の解消が急務」と問題提起した。その上で「県内においても過去最大の賃上げをした企業が先日発表された。これは賃上げの必要性・考え方が一致したものであり、今後の県内労使交渉のうねりにつながると認識する。『人への投資』に向けた賃上げを行い、物価も経済も安定的に上昇する姿へステージを変えるターニングポイントとなる春闘にすべく、社会的責任への良識ある決断を」と理解を求めた。
 県経営者協会七尾嘉信会長は「少子高齢化による労働力人口の減少により、慢性的な人手不足となっており、今後はいかに人材を確保するかが重要となっている。働きやすい職場環境整備や多様な働き方、多様な人材活用をさらに推進し、『働きがい』を感じながら能力を発揮できる組織を構築しなければならない」と述べた。また賃上げについては「本年は高い物価上昇率の中での『春季生活闘争』となり、これまでと異なる状況にある」と述べ、「県内企業の多くは経営基盤の脆弱な中小企業が大半で、支払い能力を超える賃上げは企業経営に影響を及ぼすため、総額人件費管理の下、自社の支払い能力を踏まえた上で『賃上げ』『総合的な処遇改善・人材育成』を検討し、成果の果実を働き手に分配することが望ましい」と回答し、具体的上げ幅についての言及はなかったものの、賃上げの必要性は一致した。

 続いて意見交換に入り、①急激な物価高を背景にした賃上げの必要性と賃上げを起点とした若年層の県外流出防止への考え方、②適正な価格転嫁等の取り組み、③地域間格差や雇用形態間格差、男女間格差などあらゆる格差解消に向けた考え方の3項目について提起された。

 最後に「人財の育成と共に県内定着に向け働きやすい職場環境の整備に努力する」などとした「雇用の維持と安定化宣言」を採択し調印した。