労使双方が汗をかき長時間労働撲滅を 2017年労使交渉懇談会

連合青森は3月10日(金)13時30分より、青森市のホテル青森で「2017年労使交渉懇談会」を開催し、「賃上げ」や「非正規労働者の労働条件改善」、「長時間労働の是正」「人財の県外流出対策」等について意見交換した。

 

この懇談会は、1月27日に連合青森が県経営者協会に提出した「2017年春季労使交渉に関する申入れ」の内容説明とこの申入れに対する県経営者協会の見解説明、今後の県内地場組合の労使交渉の環境整備に向けて毎年行われている。

 

連合青森内村隆志会長は11,000円という要求額について「今年度の高卒新卒者の45%、大卒者の7割となる3,000人もの若者が県外に流出し、地方創生とは真逆となっている。この大きな要因は東京の6割、全国の8割と言われる低賃金であり格差是正なくして流出に歯止めはかけられない」と強調した。また長時間労働の是正について「仕事を通じて自己実現を図るべき職場で過労死や過労自殺があってはならない。労使双方が汗をかき、撲滅しなければならない」と促した。

 

県経営者協会沼田廣会長は人財の確保・定着については「特に新規学卒者の県外流出は本県経済に大きな影響と危機感を持っており、取り組むべき喫緊の課題」と労使双方共通した認識を示したものの、景況の先行きについては「協会会員企業調査において国内消費・販売の落ち込みや価格競争・受注競争の激化、原材料費の高騰などにより、多くの業種で「悪い」という結果になっている。本県企業はほぼ内需型中小企業のため、景気回復を実感できる状況には至っていない」と述べた。

 

次に連合青森山内裕幸事務局長より申入れ内容の説明、続いて県経営者協会小笠原裕専務理事がこの申入れに対する見解を示し、賃上げについては「所定内給与の引上げは総額人件費を増大させることに留意し、自社の支払能力に基づき、年収ベースでの引上げなど自社の実情に合った方策を検討する」と述べた。

 

意見交換では連合青森からは①月例賃金の引き上げ、②同一労働・同一賃金の考え方、③人財への投資、④長時間労働の撲滅の4項目を主に意見が出され「個人消費の拡大に向け、月例賃金の引上げにこだわらなければまたデフレに戻る」と訴えた。また非正規労働者の均等待遇実現について「本来、働くことに対する成果と対価は同一であるべき」と主張した。

 

これに対し、県経営者協会は賃上げについては自社の支払能力に基づくことが大前提とした上で「人口流出を防がなければ地域経済は成り立たないため、適正な範囲での賃上げは必要」と一定の理解を示し、長時間労働是正については「協会としても撲滅に向けリーダーシップをとり働きやすい職場づくりに取り組む」と回答を示した。

 

最後に「人財の育成・県内定着、ワークルールの遵守、非正規労働者の正社員転換制度の確立、長時間労働の是正」などに取り組むとした「雇用安定と人材の育成・定着化宣言」を採択調印した。